T6-2 エゴの道具としての投影の仕組みとは?


我々が見ているのは互いにその相手について抱いたイメージにすぎず、そのために直接相手と接触することはできない。そしてまた、二人の間の関係も悪化するのである。



Jiddu Krishnamurti
ジッドゥ・クリシュナムルティ

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When the Soul wants to experience something she throws out an image in front of her and then steps into it.
魂が何かを体験したいと望むとき、魂は自らの面前の心に像を投影して、それから、その心象の中に入り込む。



Meister Eckhart
マイスター・エックハルト

神のエクハ




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今回はテキスト第六章から、投影についての一節をご紹介します。


投影



Carl Gustav Jung
カール・グスタフ・ユング

「心理学における投影(とうえい、英: Psychological projection)とは、自己のとある衝動や資質を認めたくないとき(否認)、自分自身を守るためそれを認める代わりに、他の人間にその悪い面を押し付けてしまう(帰属させる)ような心の働きを言う[1][2]。たとえば「私は彼を憎んでいる」は「彼は私を憎んでいる」に置き換わる[2]。これには責任転嫁(Blame shifting)が含まれ、たとえば習慣的に失礼なふるまいをしている人は、いつも他者を失礼な人だと言って回っているケースがある。一般的には悪い面を強調することが多いが、良い投影も存在する。

投影は日常生活においてよく起こっている。例えば、なんとなく嫌いだった人物が、実は自分の否定的な、認めたくない面を体現していたなどである。また、この概念はパーソナリティ障害の治療において、医者に向けられる怒りとして専門的に語られることもある(精神分析における対象関係論の投影性同一視)。統合失調症における迫害妄想との関連も語られている。

ユング心理学では、元型の一つ影 (Schatten) とも関連し、否定するのではなくそれを自分の一面として認識し受容することで、もっと大きな「大いなる自己」・自己実現へと成長するきっかけとして活かすことができると言う。」(Wikipedia)


投影は、私たちが、日々の生活の中で行っていることなので、自らを省みて、投影がどのようなものかわからないという方はいらっしゃらないと思います。


投影と拡張

投影は、エゴが分離状態を継続するために、自分の中の一部に否定的な価値判断をして、それを自分自身の外側に見ることで、それを取り除こうとする試みです。

神の子には、本来、神の創造力、つまり自分と同じものを拡張する力が備わっています。

そして、外に向かって拡張したとしても、拡張したものは自分と同じものなので、自分でしかありません。

ですが、この力を誤って用いると、偽りの幻想を作り出す力として作用してしまいます。

投影は、この誤った創造力の用い方です。


外に投影したものは内に残ったまま

自分の中から排除したいものを外に投影しても、放り出したつもりのそのものは、中に残ったままだということは、「聖霊のサポートは無尽蔵!でも、頼まなきゃ受けられません」で触れたように、想念を誰かに伝えても、送信元にあった想念が移動して消去されるわけではなく、メールやFAXと同じように、元の心に残ったままで、伝えられた心に広がるだけなのと同じで、投影したので自分から切り離して放り出すことができたと思うのは錯覚でしかありません。

だから、投影によって、自分の中に認めたくないものを外に放り出して、他者になすりつけたとしても、自分の中に認めなくないものは自分の中から消えずに残ったままです。


そして、責任をなすりつける対象となる、自分以外の他者や世界があると思うこと自体が、分離幻想であり、原初の投影で、これを解消することが課題です。




映写機のイメージ

投影について考える際には、心理学での投影の語源である、投影装置としての映写機、プロジェクターをイメージするとわかりやすいと思います。

神の子が神から受け継いだ創造という力は、自分と同じものを拡張するということでした。

神の子が純白の光だとすれば、本来、「外」に向けて光が拡張しても、同じ光が広がるだけで、自分自身が広がることにしかならないので、どれだけ拡張しようとも、外はないままです。

この光の前に、エゴのスライドやフィルムが置かれると、意識というスクリーンが生まれて、色や形がそこに映し出されてきます。

意識によって、本来すべてであるはずの大いなる自己は、限りある小さな自己へと縮小し、スクリーンに映し出された他者や世界が外にあると思いこんでしまうようになります。

ミラーボールの無数の切り子面のように、神の子の光の周囲を無数のスライドが貼り付いて覆い尽くし、ミラーボールの周囲をさらに包囲する分厚い雲のスクリーン上に、さまざまな映像が映し出されることになります。


一騎当千の聖霊にはエゴの軍勢も一掃される

さて、この一節では最後に、とても重要な一文が出てきます。
「The ego is legion, but the Holy Spirit is one.
 エゴは夥しい軍勢ですが、聖霊はたったひとつです。」

この一文の理解のために、自由人のカルマ・ヨガ ノート(光奈広大さん)の器の水にうつる月という記事が優れた記事で、有益なイメージを与えてくれると思いますので、ぜひ読んでいただければと思います。

自信喪失と自惚れの行ったり来たりから抜け出すには?も参考になると思います。

エゴもその起源としては、神の子が抱いたひとつの分離幻想に還元することはできます。

ただし、エゴが取り憑くのは個別の自己であり、そこに生まれるエゴは、非常に個別具体性を帯びた幻想となります。

だから、エゴが外に目を向けると、そこには自分とは違う相容れない存在しか見えず、排除と引きこもりによる分離が助長されます。

これに対して、聖霊も個別の自己の中に宿りますが、どのような個性を持つアバターの中にあろうと、個別具体性による影響を超越した普遍的で抽象的な実在のままです。

だから、聖霊が外に目を向けると、そこには自分自身を認め、自分自身とひとつに結びついて拡張します。

本節のタイトル
「II. The Alternative to Projection
二 投影に取って代わるもの」
とは、誤創造から誤りを取り除いた本来の創造である、聖霊の「拡張」です。




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テキスト 第六章 

II. The Alternative to Projection
二 投影に取って代わるもの



1. Any split in mind must involve a rejection of part of it, and this is the belief in separation.
 少しでも心を分裂させるには、必ず心の一部を拒絶することが必要になります。そして、心の一部を拒絶することは、分離を信じることです。

 The Wholeness of God, which is His peace, cannot be appreciated except by a whole mind that recognizes the Wholeness of God's creation.
 神の創造物が完全であることを認識している完全な心だけが、神の平安である神の完全性の真価を認めることができます。

 By this recognition it knows its Creator.
 この正しい認識によって、心は自らの大いなる創造主を知ります。

 Exclusion and separation are synonymous, as are separation and dissociation.
 分離と解離が同義語であるように、排除と分離も同じ意味を持つ言葉です。

 We have said before that the separation was and is dissociation, and that once it occurs projection becomes its main defense, or the device that keeps it going.
 前にも述べたように、分離は過去に解離であったし現在も解離です。そして、いったん解離が起こると、投影が解離の主要な防衛機制、すなわち、解離した状態が持続するように保つ仕組みとなります。

 The reason, however, may not be so obvious as you think.
 しかしながら、その理由は、あなたが思っているほど明解なものではないかもしれません。



2. What you project you disown, and therefore do not believe is yours.
 あなたが何かを投影するとき、あなたはその何かが自分のものであることを否認します。したがって、あなたは、投影したものが自分のものだとは信じなくなります。

 You are excluding yourself by the very judgment that you are different from the one on whom you project.
 自分が投影する相手と自分は違うという、まさにその価値判断によって、あなたは自分自身を排除することになります。

 Since you have also judged against what you project, you continue to attack it because you continue to keep it separated.
 あなたはまた、自分が投影する何かに対して、それに否定的な価値判断を下して裁いているので、自分が投影したものを自分から切り離したまま維持し続けるために、あなたは投影したものを攻撃し続けることになります。

 By doing this unconsciously, you try to keep the fact that you attacked yourself out of awareness, and thus imagine that you have made yourself safe.
 このようなことを無意識に行うことによって、あなたは、自分が自分自身を攻撃したという事実を自覚しないままにすることを試み、そうすることで、あなたは自分の安全を確保できたと空想しているのです。

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3. Yet projection will always hurt you.
 しかし、投影は必ずあなたを傷つけることになります。

 It reinforces your belief in your own split mind, and its only purpose is to keep the separation going.
 投影は、あなたが自分独自の分裂した心を持っているという信念を増強します。そして、投影の唯一の目的は分離状態を継続することだけです。

 It is solely a device of the ego to make you feel different from your brothers and separated from them.
 投影はあなたに自分は兄弟たちとは違っており、自分は兄弟たちから分離していると感じさせるためにエゴが使う単なるからくりにすぎません。

 The ego justifies this on the grounds that it makes you seem "better" than they are, thus obscuring your equality with them still further.
 エゴは、あなたに自分が兄弟たちより「優れている」ように思わせることで、あなたが投影によって自分が兄弟と分離していると感じることを正当化し、そうすることで、あなたと兄弟が等しい存在であることをよりいっそう不明瞭にします。

 Projection and attack are inevitably related, because projection is always a means of justifying attack.
 投影と攻撃とは、必ず関連しています。なぜなら、投影はつねに攻撃を正当化する手段になるからです。

 Anger without projection is impossible.
 投影を伴わない怒りなどありえません。

 The ego uses projection only to destroy your perception of both yourself and your brothers.
 エゴはただ、あなた自身と兄弟たちの両方についてのあなたの知覚を台無しにするためにだけ、投影を用います。

 The process begins by excluding something that exists in you but which you do not want, and leads directly to excluding you from your brothers.
 投影のプロセスは、あなたの内に存在してはいるものの、あなたが望んでいない何かを排除することから始まり、そして、そのまま兄弟たちからあなたを除外することへと直結します。



4. We have learned, however, that there is an alternative to projection.
 しかしながら、私たちはすでに投影に代わる選択肢があることを学んでいます。

 Every ability of the ego has a better use, because its abilities are directed by the mind, which has a better Voice.
 エゴの持つどのような能力にも、より優れた使いみちがあります。なぜなら、エゴの持つ能力は心の指図に従うものであり、心はより優れた大いなる声を持っているからです。

 The Holy Spirit extends and the ego projects.
 聖霊が拡張するのに対して、エゴは投影します。

 As their goals are opposed, so is the result.
 聖霊とエゴの目標は相反するものなので、それぞれの結果も正反対のものとなります。

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5. The Holy Spirit begins by perceiving you as perfect.
 聖霊は、あなたを完全無欠な存在として知覚することによって拡張を始めます。

 Knowing this perfection is shared He recognizes it in others, thus strengthening it in both.
 この完全さが共有されていることを知っているので、聖霊は完全さを他者の中にも認め、そうすることで、完全さをあなたと兄弟の双方の中で強めます。

 Instead of anger this arouses love for both, because it establishes inclusion.
 この完全さの共有の認識は、怒りの代わりに愛をあなたと兄弟の双方に呼び起こします。なぜなら、両者が完全さを共有しているという認識は両者を結びつけて包含することを確立するからです。

 Perceiving equality, the Holy Spirit perceives equal needs.
 平等であることを知覚することで、聖霊はあなたと兄弟が等しい必要性を持っていると知覚します。

 This invites Atonement automatically, because Atonement is the one need in this world that is universal.
 各自が等しい必要性を持っていると知覚することが贖罪を自動的に招来します。なぜなら、贖罪こそ、この世界で普遍性を持つたったひとつ必要なものだからです。

 To perceive yourself this way is the only way in which you can find happiness in the world.
 このように自分自身のことを兄弟たちと完全さを共有する存在として知覚することだけが、この世界であなたが幸福を見出しうる唯一の方法です。

 That is because it is the acknowledgment that you are not in this world, for the world is unhappy.
 その理由は、この世界は不幸な場所であるがゆえに、自分たちが完全さを共有していると認識することは、自分たちが実はこの世界にいないと承認することだからです。



6. How else can you find joy in a joyless place except by realizing that you are not there?
 喜びのない場所で喜びを見出すには、自分がそこにいないと気づく以外手立てはないはずです。

 You cannot be anywhere God did not put you, and God created you as part of Him.
 あなたは、どこであれ、神があなたを置かなかった場所にいることはできません。そして、神はあなたを自らの一部として創造しました。

 That is both where you are and what you are.
 あなたが神の一部として創造されたことは、あなたがどこにいるのか、そして、あなたが何者なのか、その両方に対する答えです。

 It is completely unalterable.
 あなたが神の一部として創造された神の子であることは、まったく変更不能なことです。

 It is total inclusion.
 あなたは神に完全に包含されているからです。

 You cannot change it now or ever.
 今もこれから先も、あなたには自分が神の一部として創造された神の子であることを変えることはできません。

 It is forever true.
 あなたが神の一部として創造された神の子であることは永遠に真実のままだからです。

 It is not a belief, but a Fact.
 それは信じることではなく、大いなる事実です。

 Anything that God created is as true as He is.
 何であれ神が創造したものは、神が真実であるのと同じように真実です。

 Its truth lies only in its perfect inclusion in Him Who alone is perfect.
 それが真理であることは、唯一の完全な存在である神の中に、神の創造したものが完全に包含されていることにのみ見出すことができます。

 To deny this is to deny yourself and Him, since it is impossible to accept one without the other.
 あなたが神の一部であることを否認することは、あなた自身と神とを否認することです。なぜなら、一方を受け入れておきながら、他方を受け入れずにおくのは不可能だからです。

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7. The perfect equality of the Holy Spirit's perception is the reflection of the perfect equality of God's knowing.
 聖霊の知覚が持つ完璧な平等性は、神の知るという作用が持つ完璧な平等性の反映です。

 The ego's perception has no counterpart in God, but the Holy Spirit remains the Bridge between perception and knowledge.
 神はエゴの知覚に対応するものを持ち合わせていません。それでも、聖霊は知覚と知識の間をつなぐ架け橋であり続けます。

 By enabling you to use perception in a way that reflects knowledge, you will ultimately remember it.
 聖霊があなたに知識を反映する方法で知覚を用いることができるようにさせてくれるので、それによって、あなたは最終的には知識を思い出すことになります。

 The ego would prefer to believe that this memory is impossible, yet it is your perception the Holy Spirit guides.
 エゴは、このように知識を思い出すことなど不可能だと信じたがるでしょう。しかし、聖霊が導くのはあなたの知覚なのです。

 Your perception will end where it began.
 あなたの知覚は、それが始まった場所で終わることになります。

 Everything meets in God, because everything was created by Him and in Him.
 あらゆるものは神の中で出合います。なぜなら、あらゆるものは神によって神の中に創造されたからです。



8. God created His Sons by extending His Thought, and retaining the extensions of His Thought in His Mind.
 神は、自らの大いなる思いを拡張することによって自らの子らを創造しました。そして、神は、その思いを拡張したものを神の大いなる心の中に保っています。

 All His Thoughts are thus perfectly united within themselves and with each other.
 それゆえ、すべての神の大いなる思いたちは、自分たち自身の中に、そして、各自相互に完全に結びついて統一されています。

 The Holy Spirit enables you to perceive this wholeness now.
 聖霊はあなたに、こうした完全さを今、知覚できるようにさせてくれます。

 God created you to create.
 神は、創造するようにとあなたを創造したのです。

 You cannot extend His Kingdom until you know of its wholeness.
 しかし、あなたは、神の王国の完全さを知るまでは、神の王国を拡張することはできません。

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9. Thoughts begin in the mind of the thinker, from which they reach outward.
 思いはそれを思考する者の心の中で始まり、そこから外側に広がってゆきます。

 This is as true of God's Thinking as it is of yours.
 神の大いなる思考は本当にこの通りに作用するし、あなたの思考も同様です。

 Because your mind is split, you can perceive as well as think.
 あなたの心は分裂しているせいで、あなたは思考するだけでなく、知覚することもできます。

 Yet perception cannot escape the basic laws of mind.
 しかし、知覚は、心の基本的な法則から逃れることはできません。

 You perceive from your mind and project your perceptions outward.
 あなたは自分の心から知覚し、知覚したものを外側に向けて投影します。

 Although perception of any kind is unreal, you made it and the Holy Spirit can therefore use it well.
 どのような種類の知覚も実在するものではありませんが、あなたが知覚を作ったがゆえに、聖霊は知覚を有効に活用することができます。

 He can inspire perception and lead it toward God.
 聖霊は知覚に霊感を与えて、知覚を神へと導くことができます。

 This convergence seems to be far in the future only because your mind is not in perfect alignment with the idea, and therefore does not want it now.
 こうして聖霊が知覚を導いて神へと収斂させるのは、遠い未来のことのように思えるはずです。しかし、それは単に、あなたの心がまだこの考え方に完全に調和しておらず、それゆえに、あなたが今のところ、それを望んでいないためでしかありません。



10. The Holy Spirit uses time, but does not believe in it.
 聖霊は時間を利用はしますが、時間が本当にあると信じているわけではありません。

 Coming from God He uses everything for good, but He does not believe in what is not true.
 聖霊は神に由来するので、あらゆるものを良いことのために使いますが、聖霊は真実ではないものを信じることはないからです。

 Since the Holy Spirit is in your mind, your mind can also believe only what is true.
 あなたの心の中には聖霊がいるので、あなたの心は真実であるものだけを信じることもできます。

 The Holy Spirit can speak only for this, because He speaks for God.
 聖霊は、真実であるものについてしか語ることができません。というのも、聖霊は神を代弁するからです。

 He tells you to return your whole mind to God, because it has never left Him.
 聖霊はあなたに、あなたの心全体を神に戻すようにと告げます。なぜなら、あなたの心全体は一度も神を離れたことなどないからです。

 If it has never left Him, you need only perceive it as it is to be returned.
 もしあなたの心全体が一度も神を離れたことがないのだとしたら、あなたの心を神に戻すために、あなたはただ単に自分の心をありのままに知覚すればよいだけです。

 The full awareness of the Atonement, then, is the recognition that the separation never occurred.
 それゆえ、贖罪の完全な自覚とは、分離は一度も起こってなどいないと認識することなのです。

 The ego cannot prevail against this because it is an explicit statement that the ego never occurred.
 エゴには、贖罪の完全な自覚を妨げることはできません。なぜなら、贖罪を完全に自覚することは、エゴは一度も生じてなどいないと明白に宣言することだからです。

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11. The ego can accept the idea that return is necessary because it can so easily make the idea seem difficult.
 エゴは、神への回帰が必要だという考えを受け入れることができます。なぜなら、エゴにとっては、神への回帰という考えを困難に見せかけることなど実にたやすいことだからです。

 Yet the Holy Spirit tells you that even return is unnecessary, because what never happened cannot be difficult.
 しかし、聖霊はあなたに、戻ることすら必要ないと告げます。なぜなら、一度も起こっていないことを困難なことにすることなどできないからです。

 However, you can make the idea of return both necessary and difficult.
 とはいえ、あなたには、戻るという考えを必要なことにすることも、困難なことにすることもできてしまうのは事実です。

 Yet it is surely clear that the perfect need nothing, and you cannot experience perfection as a difficult accomplishment, because that is what you are.
 しかし、完璧さとは何も必要としない状態であることは歴然としています。そして、完璧であることこそ、あなたの本質なのだから、あなたには完璧さを達成困難なものとして体験することなどできないのです。

 This is the way in which you must perceive God's creations, bringing all of your perceptions into the one line the Holy Spirit sees.
 あなたは自分の知覚のすべてを聖霊の見る一線へともたらすことによって、あなたは神の創造物たちをこんなふうに知覚しなければなりません。

 This line is the direct line of communication with God, and lets your mind converge with His.
 この一線こそ、神とコミュニケーションを図るための直通回線であって、あなたの心を神の大いなる心に収斂させてくれるものです。

 There is no conflict anywhere in this perception, because it means that all perception is guided by the Holy Spirit, Whose Mind is fixed on God.
 この知覚には、どこにも葛藤がありません。なぜなら、それは、すべての知覚がみな、その大いなる心を神に固く据えている聖霊によって導かれていることを意味するからです。

 Only the Holy Spirit can resolve conflict, because only the Holy Spirit is conflict-free.
 聖霊だけが葛藤を免れている存在なので、聖霊だけが葛藤を解消できます。

 He perceives only what is true in your mind, and extends outward only to what is true in other minds.
 聖霊は、あなたの心の中に真実であるもののみを知覚し、その真理を外に向けて、ただほかの心の中の真実であるもののみへと拡張するからです。

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12. The difference between the ego's projection and the Holy Spirit's extension is very simple.
 エゴの投影と聖霊の拡張との違いはきわめて単純なものです。

 The ego projects to exclude, and therefore to deceive.
 エゴは、排除するために、したがって、欺くために投影します。

 The Holy Spirit extends by recognizing Himself in every mind, and thus perceives them as one.
 これに対して、聖霊は、あらゆる心の中に聖霊自身を認めることによって拡張し、そうすることによって、すべての心をひとつのものとして知覚します。

 Nothing conflicts in this perception, because what the Holy Spirit perceives is all the same.
 この聖霊の知覚には、矛盾や衝突は何もありません。なぜなら、聖霊が知覚するものはすべて同じものだからです。

 Wherever He looks He sees Himself, and because He is united He offers the whole Kingdom always.
 聖霊は、どこへ目を向けても聖霊自身を見ることになります。そして、聖霊はひとつに結びついているので、聖霊はつねに王国全体を差し延べることになります。

 This is the one message God gave to Him and for which He must speak, because that is what He is.
 このすべての心がひとつに結ばれていることこそ、神が聖霊に託した唯一のメッセージであり、必ず聖霊はこのメッセージについて語ります。なぜなら、これこそ聖霊の本質だからです。

 The peace of God lies in that message, and so the peace of God lies in you.
 神の平安は、このメッセージの内にあるので、神の平安はあなたの中に宿っています。

 The great peace of the Kingdom shines in your mind forever, but it must shine outward to make you aware of it.
 王国の大いなる平安は、あなたの心の中で永遠に輝いています。しかし、あなたがそれに自分で気づくことができるためには、その平安が外へ向かって輝き出さなければなりません。



13. The Holy Spirit was given you with perfect impartiality, and only by recognizing Him impartially can you recognize Him at all.
 聖霊は、完璧な公平さをもって、あなたたちに与えられました。だから、何の偏りも抱くことなく聖霊を認識することによってのみ、あなたは聖霊を識別できます。

 The ego is legion, but the Holy Spirit is One.
 エゴは夥しい軍勢ですが、聖霊はたったひとつです。

 No darkness abides anywhere in the Kingdom, but your part is only to allow no darkness to abide in your own mind.
 王国には、闇が留まる場所などどこにもありません。しかし、あなたの役割は、ただ自分の心の中に闇が居着くことを許さないようにすることだけです。 

 This alignment with light is unlimited, because it is in alignment with the light of the world.
 このようにして闇を心から駆逐して光と同調していく作業が制約を受けることはありません。なぜなら、この作業は世界の光と調和するものだからです。

 Each of us is the light of the world, and by joining our minds in this light we proclaim the Kingdom of God together and as one.
 私たち一人ひとりが世界の光です。そして、私たちの心をこの光の中においてひとつに結び合わせることによって、私たちは一緒に、ただひとつのものとして神の王国を高らかに宣言するのです。


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